• 平岡大輔

マーケティングの3つの奥義


芸術家が職を求めてテマヒマへやってきました。

wantedlyという人材採用サービスに掲載していたデザイナー募集を見て興味を持ってくれた人です。残念ながらデザイナーは足りている状況だったのでお断りをしました。(掲載落とさないと。。) ただ、「美術家?どんな人やろう?」とこちらもッ興味を持ったので、会って話を聞いてみることにしました。

約束の時間になり、オフィスにやってきたのは小太りの、いかにも何かに没頭している風貌の人物。今は岐阜県の大垣に住んでおり、職を探して東京の姉の家に長期滞在をしているところとのこと。

情報科学芸術大学院大学というところに通っており、芸術家だけでは食べていけないので、デザインする技術を活かせる仕事で、時間に融通の利く職場を探していました。本業はあくまで芸術家としてやりたいとのことです。

社会人歴がなく30を超えているので、あたりまえですが希望に合う職が見つからないみたいです。1社アルバイトからの採用で話がつきそうなところが見つかったみたいですが、本人的にはまだ迷っている様子。この辺も現実が見えていない感じがして、芸術家ぽいなと感じました。

彼の通っている大学は、先端的技術と芸術的創造との融合を理念に掲げて、新しい文化を発信していこうとしている教育機関です。メディアアート、メディアデザイン、ソーシャルデザインなど、これからのアートの形を追求しているみたいです。

新しいことにチャレンジしていく人を輩出していこうとしており、なにやらわくわくする響きが学校案内には盛り込まれています。世の中に無いものをつくる使命をもっているため、就職先という意味では適合する場所が少ないみたいです。

周りの人間も含めて芸術家としての環境はしんどいみたいで、その界隈ではそこそこ名の知れた人でもアルバイトをしながら生活しているという現状。お笑い芸人や路上歌手に通じるものがあるなと感じました。

陽の目を浴びようと、いつ抜け出せるかわからない暗闇を、自分を信じてひたすら前に進む。その道が会っているかどうかもわからず、でも歩みを止めることができない。

日本におけるアート文化は海外とくらべても文化として定着していません。まんがやアニメのような独自の変異をして浸透・拡大しているからかもしれません。

広がらない理由として、聖域化しようとしている人たちの存在が挙げられます。高尚なもの、大衆には理解の及ばないものとすることが、その価値を高めるための理由にもなるからです。まだまだ一部の特権階級のためのものとして存在しています。

アート作品を買う人がどのように作品と出会うのか知ってますか?多くはギャラリーという限られた場所や、信頼のおけるキュレーターからの推薦によるものだそうです。展示会など限られた人しか出展できないため、作り手には発表の場が圧倒的に足りていません。

市場を拡大していくためには、発表の場を増やすしかないと思います。そして、評価者(批評家?という人たちがいるみたいです)に認められて人の目に触れる、という業界の仕組みから飛び出し、特権階級の人以外の生活に浸透するような、別のチャネルをつくることで、もっと文化としての体を為すと思いました。

マーケティングはマッチングをしやすくする活動

奥義とも言えるそのポイントは3つあります。

1.自分を欲しいと思っている相手を探す 2.相手の欲しい状態に自分を変化させる 3.自分を欲しいと思うように相手を変化させる

今のアートの世界では、この中の1しか手段を取っていません。2はデザインの世界になります。

やるべきは3のアプローチだと思います。このためには、元々興味のない人と出会う場所が必要です。その人たちが共感し合えるコミュニティをつくる必要があります。固定観念から離れさせるアートの利便性を生み出し、その価値を浸透させる必要があります。

そうすることで音楽がアカデミックなものだけでなく、大衆的なものになったようなインパクトを、視覚的なアートの世界でも実現させられると感じました。

まさにマーケティングによって解決できる課題です。マッチングできていない両者を繋ぎ合わせる。その価値を見いだせていない市場をつくること。

でもマーケティングにも解決できないことがあります。それは、商品が顧客にとっての良いものではない時です。それを無理矢理売ることもできますが、それは詐欺になります。

アートの世界では作品が商品にあたりますが、これは日々生み出されています。陽の目を浴びさせる方法の極端に少ない閉鎖された世界で、尽きることなく生み出され続けるコンテンツに、このマーケットのポテンシャルを感じました。

閉鎖的で、既得権益によって不整合が起こっている業界。風穴をあけるには十分すぎる材料がそろっています。

- 出典:日本美学研究所 マルセル・デュシャン『泉』-

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