• 平岡大輔

広告代理店が混乱のタネ


日本のマーケティングは遅れていると言われています。

その理由は正しい知識が浸透していないことが挙げられます。「マーケティング」という言葉が調査やプロモーション(特に広告)という文脈で使われていることがよくあります。

「どんな仕事をされているのですか?」と聞かれた時、「企業のマーケティング支援をしています」というと、「どのマーケティングですか?」という質問をほぼ100%言われます。

「マーケティングとはセールスをしやすくするためにやること」です。商品の改善もそうです。適切なターゲットの選定もそうです。クリエイティブの開発もそうです。プロモーションもそうです。顧客との関係構築もそうです。

ありとあらゆる施策を駆使して実現するのがマーケティングです。

「どの●●?」というのは、それ自体ががいろいろある場合に問われる質問です。マーケティング自体は一つの考え方です。いろいろあるのは施策です。なので、「どのマーケティング?」と質問している側には、マーケティング施策のことが頭に浮かんでいると言えます。

巷にあふれる「●●マーケティング」という言葉は、たいてい「●●プロモーション」に置き換えれれます。集客するための施策はプロモーションです。

アンケートの職業欄などでも「調査・マーケティング」「広告・マーケティング」などと併用されて扱われていることがよくあります。調査も広告もマーケティング活動の中の一つの施策にすぎません。公の場でもっともらしく水準の違うものを同じように扱うから、みんな勘違いをしてしまいます。

海外のマーケターの話を聞くと、「マーケティング」は「セールス」と併用されて使用されています。これは、「売る行為」と「売りやすくする行為」なので、違和感の無い併用です。

日本では、広告代理店がマーケティングを牽引していると思われています。事業主側も広告代理店側もそう思っています。その勘違いがマーケティングが浸透しない環境を作っていると僕は思います。

広告業界の人はよく「マーケティング」と言葉にしますが、彼らの中心にあるのはあくまで広告です。「広告=マーケティング」だという解釈をしているから、プロモーションの文脈で「マーケティング」という言葉を使うのだと思います。

広告代理店とひとくくりにすることの危うさ

「広告代理店」というものの定義が正確に為されていないことも不健全な環境を生み出していると思います。僕は広告代理店出身です。オンライン、オフライン、イベント、PR、店頭販促などプロモーションに関わることは全て請け負う総合広告代理店でした。広告に関わる必要な全てを担える会社です。

僕の中では総合広告代理店を「広告代理店」と呼んでいます。世の中の多くの広告代理店は専業広告代理店です。

オフラインでもテレビは扱わない雑誌や新聞などの紙媒体中心の会社、OOHなどを専門としている会社、webを専門としている会社、これら全て「広告代理店」と自称しています。他にも、販促ツールを作る会社や、折り込みチラシやパンフレットを請け負う印刷会社が広告代理店を自称しているケースなどもあります。

特にweb領域においては、有象無象が大量にいます。

リスティングの運用代行であっても広告代理店と自称するので、事業主としても「広告代理店だからwebのプロモーションを全て任せても大丈夫」という勘違いをしてしまいます。

言われた側もやってやれないことはないので「はい、やります!」と答えます。でも、うまくやれるかどうかは別の問題です。

専門特化している会社に対して、全体を任せてしまっているおかしな状況がそこら中で起きてしまっています。広告会社の仕事は媒体を売ることです。媒体の購入を代理していると言っても過言ではありません。

その効果を最大限発揮するクリエイティブが付加価値ですが、悲しいことに媒体だけで成果を出そうとします。なぜそうなってしまうかというと、広告が「誰に・どこで・いつ」と「何を」の掛けあわせで成果がに繋がる施策ということを、彼らが理解できていないからです。

「新しい媒体が出ました」「あの会社で成果の出た媒体です」「新しいテクノロジーを利用した配信手法です」など、広告の出し先や出し方だけでクライアントのマーケティング課題を解決しようとしがちです。

媒体社との口座さえ開ければ、どの会社でもいろんな広告を出すことはできます。でも、それは広告媒体を代理できるというだけで、「広告」を代理できることではありません。

「広告」を代理してくれる相手なのか、「広告媒体」を代理てくれる相手なのか

広告は集客の出発点です。どれだけ顧客化が見込める集客プロセスを構築できていたとしても、広告で適切なターゲットに訴求をして、そのプロセスに乗せられなければ、顧客にはなってもらえません。

ただ、それ自体で顧客化が進むわけではありません。購入に至るために必要な「商品を知る」「商品に興味を持つ」という導入の役割を果たすことが広告の役割です。広告を代理するということは、媒体買い付けを代理するということではありません。

そういう不健全な状況を変えるための策として、「広告代理店」とされている企業の分類を具体的にすることを提案したいと思っています。

総合的に広告を扱っている企業以外は「広告代理店」ではなく、「広告媒体販売代行会社」という呼び方が適切だと思います。

そうすれば、事業主も「広告」を任せるパートナーではんなく、ターゲットにリーチできる媒体を買い付けてくれるパートナーなんだ、という正しい認識ができ、必要に応じて仕事を依頼することができます。

また、運用型広告の代行をする会社も「広告代理店」ではなく、「広告媒体運用代行会社」という名前にすれば、「集客のために必要な広告の中でも、運用型の広告を代理してくれるパートナーなんだ」とわかるので、状況に応じて必要なパートを担う適切なパートナーとして仕事を依頼できます。

あいまいになっているものは、一度定義をきちんとつけることで整理されます。それにより理解が進み、適切に取り組んでいくことができます。

#広告 #マーケティング

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