• 平岡大輔

マーケティング≒研究


情報工学の学者に相談ごとがありオフィスに来てもらいました。

開発中のマーケティングのPDCAを適切に素早く回すためのサポートシステムに、機械学習の機能を追加するための相談でした。

このプロダクトは、不適切なPDCAを回してしまっている多くの企業に、適切な指標と示唆を与えるためのシステムです。具体的には、KPIの自動計算、実績の自動集計、予実の管理、課題の可視化、解決策の提案を行います。

いろんな機能を検討してきましたが、できるだけシンプルに、必要な機能のみに削ぎ落として、この仕様に落ち着きました。

ただ、とてもシンプルで地味な内容なので、何か興味を引くフック機能が欲しいなと、営業の観点から思っていました。

そこで注目を浴びている「機械学習」を取り入れた、現状からの未来予測機能を付けたらどうかと思い、今回その相談で来てもらいました。

専門的になりすぎる危険性

本題に入る前に少し近況の報告をし合うと、彼は今後の方向性について悩んでいました。

研究者はお金をもらい研究をします。そのため、クライアントからの要望以外の研究には時間を使えません。そうすることで、その分野での経験が上がり、また別の研究依頼をクライアントから受けることになります。

ただ、世の中の課題は特定の分野のみで解決できるものばかりではありません。課題解決を出発点に置くと、自分の専門分野以外の学問も取り入れる必要が出てきます。

でも、専門分野が固定されているとそれができなくなり、自身の専門分野の範囲内で答えを導こうとしてしまいます。むしろそれしかできません。

専門分野を変えるというのは職業を変えるに等しい行為だそうです。専門特化し安定を得るようになると、それ以外の分野へ手を出そうとはしないそうです。いろんな分野へ手を伸ばして、それらを組み合わせてよりよい研究をするという人はほぼ居ないとのことです。

ビジネスの世界と似てるなと思いました。

それに対して彼は危機感を感じていました。今のスタンダードなやり方では世の中の課題に対して最適な解を導けない可能性が高いと考えているからです。

彼は、自分の専門分野の知識を生かしてその範囲内で課題を解決するのではなく、課題ありきでいろんな分野の知識を組み合わせて、最適解を導きたいという考えを持っていました。

その話を聞いて、マーケティング業界と同じ不健全な状態があるなと感じました。

マーケティングの施策は多岐に渡り、その施策毎に専門のプレイヤーがいます。彼らはあたかも自分たちのソリューションが最適解だという考えをもとに、クライアントの課題解決を導こうをしがちです。

全体を統合して、適切なソリューションを組み合わせないと、目的への最短距離は描けないし、求めるゴールにもたどり着けないと思います。

テマヒマはクライアントの課題を起点に、事業の段階や状況に応じて適切な解を出すための役割を担っています。ただ、まだまだそのポジションの重要性が世の中に浸透しきってはいません。

クライアントはわかりやすい答えを求めます。専門分野の学者に研究依頼をするのと同じで、特定の施策で課題解決をしようとしています。

今まで彼と話が合っていたのは、生きている世界は違えど、根幹での思想が同じだったからからなんだと改めて思いました。

物事の判断をする時はポリシーに立ち返る

結果、機械学習機能はつけないことにしました。

理由としては、本質的ではないからです。機械学習の機能自体はカンタンに付け加えられますが、今の状態でそれを付けてもそれが導く結果自体は怪しいものだからです。

精度の高い結果を導くためには膨大な量のデータが必要になります。Googleが世界中の知能とデータを用いてチャレンジしているような分野で、今のうちの会社が集められるデータ量なんて限られます。

できるにはできますが、ただできるだけです。料理は作れるけど、おいしいかどうかは別問題なのと同じ状況です。

本質を唱えている側の会社が、本質的でないものに手を出すのポリシーに反すると思いました。

最近何かにつけてAIという言葉を耳にします。もちろん研究が進み知識がシェアされることによって今後の活用の幅は広がっていくと思います。今後蓄積されていく自社のデータを活用した範囲でのAIの活用なども今後は取り組むかもしれません。でも今ではないなという話になりました。

先進的な技術は本当に使えるものになったときには、だれも何も感じなくなります。例えば、PC入力の予測変換などは機械学習の仕組みが取り入れられています。でも誰もそれに対して「AI凄い!」とか思ってないですよね?

バズワードとしてモテはやされる段階では、その精度は怪しいものだというのが二人が導いた答え。それを平岡がやってはだめだという客観的な意見を得られたのが、今回の大きな収穫でした。

#マーケティング

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