• 平岡大輔

希少性を作れ


おいしいお蕎麦を食べる会に招待していただき行ってきました。

神保町「わたる」というお蕎麦屋さん、最近はdancyuなど食通が好むお店を紹介する雑誌に掲載されたこともあり、いつもいっぱいでなかなか入れないお店です。平日の夜しか開店していないにも関わらず、それでも商売が回るくらい繁盛しているみたいです。

神保町の駅から5分位歩いたところの、大通りから2本離れた場所にあり、この近辺で生活している人以外が見つけるのは到底無理な立地です。

のれんをくぐって引き戸を開けると、左手に6人くらい座れるカウンターがあり、右手に4つくらい4人がけのテーブルが並んでいる縦長のお店でした。満席に鳴ると結構密集感のある感じ。

今回は「わたる」さんを貸し切って蕎麦好きが集結していました。お蕎麦に限らず、食に対する意欲が旺盛な方たちばかりでした。

お蕎麦に行き着くまでに小料理が8品くらい出てきて、どれも食べると目が垂れる料理ばかり。僕は並ぶくらいなら食べたくない派なので、並んででも食べたい派の方たちが美味しいと絶賛する料理にありつけて、とても幸せでした。

半年先まで予約が埋まる肉屋の戦法

吉祥寺にある「肉山」の話になりました。「肉山」は半年先まで予約が取れないとして有名なお肉屋さんです。

その方曰く、「そこまでではなかった。おいしいのはおいしいけど、半年先まで予約が取れないとか、そこまではない感じだったなぁ」という、辛口のコメント。

「肉山」は個人で行くというよりは、「肉山予約とれました。行きたい人は手を上げてください」的なアピールに反応した人たちを集めて、みんなでわいわい食べに行く、ある種観光地にいくような感じで食べに行くお店です。

食事を終えたタイミングで、次の予約を促しにくるらしいのですが、おいしく楽しい経験をしたお客さんは「あ、じゃぁ、せっかくなんで。」と数名が半年先の予約を入れていくそうです。

そしてまた同じように、今後はその人をハブにして新しいお客さんが複数やってくるという芋づる方式になっています。

これ、とても上手なマーケティング手法だなと思いました。

おいしい料理を出すのは大前提ですが、おいしさは人によって感じ方も違いますし、一定レベルを超えれば多くの人にとって大きな差は無くなります。

商品のコモディティ化がされている業界なので、繁盛しているお店はマーケティングに長けているとのは間違いありません。

「席数も多くなく、立地も良くない」というネガティブな状況を、「予約が取れない、幻のお店」というラベルを貼ることで逆に利用しています。

飲食店の戦略はクチコミを如何に作れるか

飲食店にとって最大の武器は「人気店になる(=予約が取れない)」です。それだけ人気なら、「どれだけおいしい料理が出てくるんだろう?」と人は思います。

食べた時も「これだけ予約が取れない=たくさんの人がおいしいと思っている料理だからおいしい」と自分の感覚すら影響を受ける事になります。

そして、「その幻のお店の予約を自分がとれる、来たことのない周りの友だちにもこの料理を食べさせることができる、結果、周りにありがたがられる」

つまり、予約を取ることで自己の承認欲求を満たすことができます

もう一つ秀逸なのは、肉の塊を焼くという演出です。見た目のインパクトがあるのでSNSのネタとして使いやすく、発信しやすい状況を作っています。

「予約の取れないお店に行った。(私は特別な存在)」ということを羨ましがられたいという欲求をどんどんSNSで満たしてくれることで、勝手に「肉山」への認知と興味が作られていき、次の顧客をどんどんと呼び込むことに成功しています。

確実に意図的に予約が取れない状態を作り、人気店を作っています。生活者のライフスタイルと行動心理を的確に捕らえたマーケティング活動をしているお店です。

このビジネスモデルは飲食店に限った話ではありません。どんなビジネスでも転用していく余地はあると思います。あなたのビジネスではどのように活かせるでしょうか?

#マーケティング #事業

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