• 平岡大輔

信念のないブランディング


「“忙しい”を理由に諦めてない? 時短美容で女磨きを始めましょう」

ちふれ化粧品がYahoo!の広告企画で訴求したメッセージです。「時短美容で女磨きを始めましょう」「いつの間にか『女磨き』をおろそかにしていませんか?」といったメッセージを掲出して、「女磨きレベル」診断を行う中で、ちふれの化粧品をアピールするという企画だったようです。批判の声が出たために出稿を取りやめました。

広告表現にネットでの批判が起こり、SNSで拡散され炎上したことで、広告を取りやめる事例がよくあります。僕はこの手の批判にいちいち応える必要はないと思っています。

なぜなら、今回のように企業が顧客に共感してもらいたい世界観を訴求したコピーの場合は、それに反応しない人やネガティブな反応をする人はターゲットではないからです。

全ての人に気に入られることは不可能です。なぜターゲットでもない人たちからネット上で批判が拡散された程度で、振り上げた拳をすぐに下ろしてしまうのか疑問です。

ブランディングというもの

ブランディングという言葉は企業のマーケティング活動の中でよく耳にします。ブランドは一朝一夕で作れるものではありません。ブランディングは企業の創りたい世界観をプロダクトとコミュニケーションを通して、顧客が共感している状態を作る活動だと僕は考えています。

顧客が企業の世界観を最も体感するのは、その商品を利用している時です。なぜなら商品によって得られるベネフィットが欲しいからその商品を顧客は買っているからです。

でも、商品がその世界観を体現していないにも関わらず、広告での主張だけをひたすら刷り込むことがブランディング活動だと捉えられていることが多いと感じます。それは広告代理店がそういう風に扇動しているからだと思っています。

もちろんコミュニケーションも大きなブランディングの大きな役割を担っているのは間違いありません。でもそれだけではただの洗脳活動だと思います。

ちふれ化粧品が訴求したメッセージは、既存顧客とちふれの関係をまだ見ぬ顧客に対して共有しようとした結果、生まれたものだと思います。ブランドの描きたい世界観とその世界でベネフィットを得ている顧客との関係を知ってもらおう、そんな商品に興味を持ってもらおう、としていたコピーなのではないでしょうか。

それなのに、Twitterなどで集まった「女磨きをしろと脅迫されているように感じる」「失望した」「低価格で高品質というちふれのブランドイメージとそぐわない」というような批判に過敏に反応して、新しい顧客とのコミュニケーション機会を自ら潰しました。

既存顧客の大多数から批判が出ていたり、不買運動が起こって明らかに売上が落ちたりということであればわかります。

ネット上の声は顧客かどうかもわからない匿名の声です。一種のクレーマーのような人もSNS上には多く存在します。そもそもターゲットではない可能性の高い人たちです。

リスクはマネジメントするもの

しかもネット上で批判を上げている人たちが現実世界の大多数ではありません。ネットは小さな池の集まりに過ぎません。もちろん風評が広がることで、顧客へネガティブが伝播してしまうリスクはあると思います。でもリスクは回避するのではなく管理するものです。

そういうネット上での声が上がっているのであれば、既存顧客に向けて改めてこのコピーに至った背景や、自分たちが描いている顧客と共に創っていきたい世界観の共有をすることで、ブランド・ロイヤリティの高い顧客との関係をより強固にしていくことができると思います。

もしその主張に対して既存顧客から批判が相次ぐようであれば見直しも検討してしかるべきと思います。

ポジティブな意見はわざわざ主張されにくく、ネガティブな意見はこれみよがしに拡散されます。なので、批判に対して逃げの姿勢ではなく、自分たちが正しいと考えてとった行動に対して信念を持って主張することで、その主張がより際立っていくと思います。

市場に迎合するのではなく、そういう企業と付き合っていきたいと思う顧客を増やしていく方が、目指している方向へとたどり着くには近道だと思います。

ちょっとした批判で主張を取り下げる企業を見ていると、どこまで自分たちが実現していきたいことと、これまで顧客と築き上げてきた関係に自信が無いんだと思ってしまいます。

批判を受けて「はい、そうでした。。」と思うくらい思考できていないコピーだったのなら仕方ないですが、なんとも残念な気持ちになります。

マーケティングは顧客から求められる状態を作るために価値提供をする活動です。是非、プロダクトやサービスやコミュニケーションを磨くことで、顧客を惚れさせてください。

参考:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/26/news100.html

#マーケティング #事業

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