• 平岡大輔

座布団10枚の広告


インプット・アウトプットの鍛錬のために、日頃から目に入る広告の要素分解をしています。このシチュエーションで、誰に向けて、どんな意識の変化・態度の変化を促そうとしているのか、などを考えています。昨日も気になる広告を見つけました。

教育を受けられない子供たちがいることを啓蒙するACの中吊りポスター広告です。電車の中は、人が足を止めているので比較的文字が読まれます。

一方的な企業のメッセージでは反応しませんが、問いを投げかけられると「どんな問題だ?」と反応したくなります。この時点で、この広告への注意を向けさせることに成功しています。

問題は算数の問題のようになっています。起きている半分の時間を家の手伝い、残りの時間の3分の2で妹のお世話、学校までの往復が3時間かかる、残りの時間でどれくらい勉強できるか?簡単な算数の問題のようになっています。

問題を理解するために書かれている内容をイメージしながら読んでいると、勉強する時間が無いという答えを導いただけで終わらず、問題の中に書かれている現実の問題に意識が向きました。

この時、頭の中では家の手伝いの時間を減らすか、往復時間を短くするかが必要だ、という算数の問題ではなく、この問題に登場する子供の問題の解決策を考え始めます。

そして「この問題は、本当に問題です」という右側のコピーが、全てを物語る一文として、頭の中にすっと入ってきました。

算数の問題として書かれていることが、現実としての問題だということを伝えています。この構成自体はとても良くできていると思います。

そして何よりこの広告の目的、「教育を受けられない子供がいることの問題を認知させ、どうすれば解決するかを考えさせる」ことが見事に実現できているところです。人によっては、「最終的にはその人ができることへの行動を促す」までを実現させられるかもしれません。

単純に「世界中には教育を受けられていない子どもたちがたくさんいます。」的なメッセージを届けられるよりも、自分自身でより具体的なイメージをして、その状況を理解することができる仕掛けがこの広告にはあります。

これは座布団10枚レベルの広告ですね。

#広告

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