「電通も博報堂もいらない時代」への違和感

10/31/2017

 

「電通も博報堂もいらない時代」という興味を引くタイトルの記事があったので読んでみました。

 

ゴールドマン・サックス社が発表していた「アメリカにおいてはトップ0.1%の人口を締める人々の富と、下から90%を占める人々の富がほぼ同一」というデータを取り出し、トップ0.1%を相手にしていればビジネスが成り立つという主張をされています。


これって違和感ありますよね。お金があってもそれだけ使えるかはまた別の話です。なぜなら、1人が使える時間は限られるからです。

 

買うという行為自体、時間がかかるものです。特に本当のお金持ちはモノに対して消費をしないと聞きます。既に十分足りているからという理由もあると思います。モノではなく、体験や意義あることにお金を使うとしたら、単純にモノを買うよりも時間がかかりますよね?ということは、買ってもらえる量も頻度も少なくなるということです。

 

とすると、果たしてその人たちを顧客にするだけで世の中の全ての会社のビジネスは成立するのでしょうか?もちろん記事からは読み取れない部分の考えもあってのことだとは思いますが、読者目線では「?」と感じさせられる内容でした。

テレビ=電通・博報堂というイメージ

 

 

「電通と博報堂もいらない時代」というタイトルにもかかわらず、特にその理由が中心で展開される内容でもなく、結論も「今までの働き方じゃなく、トップ0.1%を相手にして働き方を変えようぜ!」的な感じになっています。何故か最後は競馬の話。。


おそらく、トップ0.1%を相手にビジネスをしていくことが今後の主流という文脈で書かれている「テレビで巨額を投じて、つまらん広告宣伝をする必要もありませんし、そういう人たちだけを対象にすれば十分に食えるビジネスが成り立つということです。」という主張の部分から、電通と博報堂という広告業界のトップ企業をやり玉に挙げたのだと思います。本文中に電通も博報堂も登場しないので、あくまで推察ですが。

 

 

”テレビ広告がいらない=電通や博報堂などの大手広告会社がいらない”、という論法はたまに見かけますが違和感を感じます。これらの企業がテレビ広告だけを生業としているわけではないからです。

 

テレビ広告の売上が大きいのは確かです。でも、TVが主婦とお年寄りのものだということはもちろん認識していて、彼らもこれからの需要をどう作っていくのかを考えて研究をしています。

 

 

また、これらの企業だけがテレビ広告を扱っているわけではないという点も付け加えておきたいです。昔は先に枠を買い占められていることもあったようです。でも、今ではTV局側も空き枠を埋めることに必死の状況です。もちろん扱いの大小はありますが、直接取り引きできる代理店は100社以上いると思います。そういう背景を知らずに、「TV広告いらない=電通・博報堂いらない」という主張をされていると、「全然詳しくないのに雰囲気で語られてるな」と思ってしまいます。

 

でもその記事を読む一般の方は、「TV広告いらない=電通・博報堂いらない」ということを信じてしまいます。

多くのTV広告がムダになってしまっている理由

 

 

もちろんTV広告をしなくても良い、しても意味のない多くの企業がTV広告に出稿しているのも確かです。それらは間違いなくムダな広告です。何故ムダかというと、明らかにターゲットへの接触コストがかかりすぎるからです。

 

テレビ視聴者の主役である主婦や高齢者を対象とした場合、単純な配信量(見たかどうかは関係のない数値)で見ると、一度に配信できる瞬発力としては割安になるケースもあります。でも実際に視聴して興味をもってアクションした人、としてコスト換算できたとすると、目も当てられない状況と思います。もちろん人の心の動きを計測することはできないので、調べようがないですが。

 

 

例えば、1,000GRP(視聴率1,000%分)投下したとしても、多くの人はCMに1回程度しか接触しません。一部のTV好きには20回も30回もリーチする場合もありますが、その人にリーチしている広告のほとんどがもう効果的でないことは明らかですよね。


関東でTVCMのスポット出稿をする時、例えばGRP単価が7万円の時、1,000GRP投下しようとすると7,000万円必要になります。多くの人が1,2回しか接触しない広告で7,000万円必要になります。無理やり1,2回見せられて印象に残る広告はほとんどありません。


1,2回の接触でも脳裏に焼き付く用な広告クリエイティブを作ればいいんだ!と考えたとしても、興味を引き、印象に残る広告を作ろうとすると媒体費並に制作コストがかかります。つまりTV広告に対して、1億程度使ったとしてもたいした効果を得られないということです。普段見ていて「良く見るなー」と誰もが思う広告は、10億〜20億くらいは投下しています。

 

それにも関わらず、数千万規模の予算でTV広告を出稿している企業がたくさんいます。BtoB企業が経済番組を提供するなどの使い方であれば、ターゲットにピンポイントで訴求ができ、企業イメージを刷り込むこともできるので期待する効果はあると思います。でもほとんどの企業がそういう使い方をできているわけではありません。

 

TV広告を王様に仕立て上げている役者たち

 

 

悲しいことにTV広告への憧れからか、広告代理店に乗せられて、夜の闇に小さな花火を打ち上げてしまっています。広告代理店の営業担当は売上・利益が大きく手離れもいいTV広告に予算を寄せたがります。クリエイターもTVCMを作って一人前という考え方の人もまだ多いと思います。経営者やクライアント企業の担当者もTV広告へのあこがれを常に持っています。

 

提案をしたり、決済権のある人たちが愛したTVというメディアに傾倒するのも仕方ないと思います。今はその最後の世代だと思うので、これからは今よりもどんどんと広告費のかけ方が変わっていくと思っています。

 

 

本当は広告業界の中の人がどんどんと自己否定含めて声を上げていくべきだと思うんですが、SNSとかをうまく活用して自己主張している人もあまり見かけないので、そういうところからも今後が心配だなと元広告代理店マンとしては感じてしまいます。

 

しばらくは広告業界のダイダラボッチを目指して頑張っていきます!

 

 

参考:

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171028-00195076-toyo-bus_all&p=2

 

タグ:マーケティング

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